我が家は家を手放して、キャンピングカーで日本一周をしています。
つまり、生活に必要なものは、すべて車内にあります。
夏布団も冬布団も、掃除機も、タイヤチェーンも。
仕事道具から日用品まで、1年を通して暮らすためのアイテム一式をキャンピングカーに積んでいます。
だから究極、車内に搭載できる量しか持てません。
「物を減らすのが得意」というより、断捨離せざるを得ない環境にいる、と言った方が正しいかもしれません。
とはいえ、この記事を読んでくださる方の多くは、ご自宅をお持ちだと思います。我が家のように、鬼の形相ですべてを減らす必要はありません。
それでも最近、こんな相談をいただく機会が増えました。
「少しでも物を減らして、すっきり暮らしたい」
「老後に向けて、家の中を整えておきたい」
「定年後に日本一周をしたいから、今のうちに断捨離を始めたい」
そこで今回は、家を手放した私が実践している「断捨離の考え方」をまとめます。
この記事の主人公は、捨て方ではなく、手放すかどうかの決め方です。
私の判断方法は、次の順番です。
① 使っているかを見る
② 使用頻度や、家族の人数に合っているかを見る
③ 年数と劣化状態を見る
④ 次に買うときは、手放す日まで考える
この順番で考えると、「高かったから」「いつか使うかもしれないから」だけで物を残すことが減りました。
「いる・いらない」ではなく、「使っている・使っていない」で考える

断捨離というと、「これは、いる?いらない?」と考えがちです。
でも私は、「使っている?使っていない?」で分けました。
なぜなら、「いる?」と聞くと、思い出や値段が頭に浮かぶからです。
「高かったから、いる」
「いつか使うかもしれないから、いる」
「人からもらったものだから、いる」
こうして、ほとんどの物が「いる」に分類されます。
一方で、「使っている?」という問いには、行動という事実で答えられます。
まず、使っていない物は手放す候補へ。
使っている物は、さらに次の4つに分けます。
① 週3日以上使う
② 月1回使う
③ 半年に1回使う
④ 1年に1回使う
季節物が多い方は、「季節ごとに使う」を追加しても大丈夫です。
大切なのは、正しい分類を作ることではありません。自分がその物を、実際にどのくらい使っているのかを見えるようにすることです。
鞄を持つ腕は、2本しかない

たとえば、鞄。
私の腕は2本しかありません。
だから、鞄を10個も50個も100個も持っていても、同時には使えないのです。
もちろん、用途によって必要な鞄は違います。
だから、数だけで「多い」「少ない」と判断せず、先ほどの4つに当てはめてみます。
週3日以上使う鞄
仕事や買い物に使う、普段使いの鞄です。
使用頻度が高い物は、生活を支えてくれている物。無理に減らす必要はありません。
ただし、よく使うぶん劣化も進みます。状態の確認方法は、あとで詳しくお伝えします。
月1回使う鞄
休日のお出かけや、少しおしゃれをしたい日に使う鞄です。
これは、生活必需品ではないかもしれません。でも、持つことで気分が上がるなら、私にとっては必要な物です。
断捨離は、楽しみまで全部捨てることではありません。
半年に1回使う鞄
連休や旅行など、特定の場面で使う鞄です。
ここでは「次に使う日を具体的に言えるか」を考えます。
「半年後の旅行で使う」のように予定が浮かぶなら残す。「何かのときに使うかも」しか浮かばないなら、一度見直します。
1年に1回使う鞄
式典やハレの日など、特別な日に使う鞄です。
何度も買い直すのがもったいないなら、お気に入りをひとつだけ持つ。保管に手間がかかり、今後使う予定もはっきりしないなら、必要なときにレンタルする方法もあります。
「使う頻度が低い=すぐ手放す」ではありません。
使用頻度と、持ち続ける意味が釣り合っているか。それを考えるのがポイントです。
食器は、家族の人数を基準にする

鞄は使用頻度で分けやすい一方、食器になると、急に迷う方が増えます。
「服の断捨離は分かった。でも、食器は何枚残せばいいの?」
実際に、こんな声をよく聞きます。
食器は、家族の人数を基準にすると考えやすくなります。
たとえば、夫婦2人暮らしなら、毎日使う茶碗、汁椀、平皿、深皿、マグカップは、まず2人分。それで不安なら、割れたときや来客時の予備として、同じシリーズを2つまで追加してもよいと思います。
つまり、基本は次の考え方です。
私の目安は、日常で使う人数分+予備は2つまで。
予備を持つなら、なるべく同じシリーズでそろえます。重ねやすく、収納しやすく、1枚割れても組み合わせに困りにくいからです。
もちろん、大皿や取り分け用の器まで、すべて人数分そろえる必要はありません。
食器ごとに、役割を見ます。
・ 茶碗や汁椀など、1人ひとつ使う物:家族の人数分
・ 平皿や深皿など、毎日の料理で使う物:家族の人数分+必要なら予備2つまで
・ 大皿や取り分け用の器:実際に使っている物だけ
・ 年に数回しか使わない来客専用食器:本当に来客用として必要か見直す
来客が年に一度あるかどうかなら、その日のためだけに何十枚も保管し続ける必要はないかもしれません。普段の食器を使う、紙皿を活用する、必要な分だけ借りるという方法もあります。
ここでも、「いつか使うかも」ではなく、「誰が、いつ、何に使うか」を考えます。
食器棚に入るだけ持つのではなく、暮らしている人数と、実際の食卓に合う量を持つ。そう考えると、残す枚数が見えやすくなります。
使用頻度の次に、「年数」と「劣化状態」を見る

ここまでで、鞄は使用頻度、食器は家族の人数を基準に整理できました。
次に、残す候補にした物の年数と劣化状態を確認します。ここでは、鞄を例に見てみましょう。
よく使っている鞄でも、持ち手が切れそうなら安全に使えません。反対に、年数が経っていても、手入れされていて状態がよい物を、数字だけで捨てる必要はありません。
物には、食品のように分かりやすい賞味期限が書かれていません。
しかも、同じ素材でも、使い方や保管場所、湿度、日光の当たり方によって状態は変わります。
それを踏まえたうえで、まず年数の目安だけをシンプルに見ると、次のようになります。
鞄の平均使用年数の目安
| 種類 | 平均使用年数の参考値 |
|---|---|
| 皮革製のバッグ | 5年 |
| 人造皮革製のバッグ | 3年 |
出典:全国クリーニング生活衛生同業組合連合会「クリーニング事故賠償基準」別表1(バッグNo.98・105)。廃棄期限や物理的な寿命ではありません。
ポリウレタン系合成皮革の劣化目安
| 素材 | 劣化の目安と見方 |
|---|---|
| ポリウレタン系合成皮革 | 製造から通常2~3年で劣化が進むことがある。使用回数だけでなく、べたつき・剥離・ひび割れを確認。 |
これは「この年数を過ぎたら捨てる」という期限ではありません。
本革約5年、人工皮革・合成皮革約3年という数字は、全国クリーニング生活衛生同業組合連合会の「商品別平均使用年数」を参考にしています。この平均使用年数には、壊れたから手放すケースだけでなく、流行や生活の変化で使わなくなったケースも含まれます。つまり、物理的な寿命そのものではありません。
一方、ポリウレタン系の合成皮革は、空気中の水分や熱、紫外線などの影響で経年劣化します。製造から通常2〜3年ほどで、べたつきや剥離、ひび割れが表れる場合があります。
ここで注意したいのは、購入からではなく、製造から数えること。
長く店頭や倉庫に保管されていた物なら、買って間もなくても劣化することがあります。「ほとんど使っていないから新品同様」とは限らないのです。
布やナイロン製の鞄は、生地の厚さや縫製、荷物の重さ、使用頻度で差が大きいため、一律の年数を決めにくい物です。半年から1年に一度、状態を確認する方が現実的です。
年数と一緒に確認したい劣化サイン
・ 持ち手や縫い目がほつれていないか
・ 表面がべたついたり、剥がれたりしていないか
・ ひび割れや色移りがないか
・ ファスナーや留め具がきちんと動くか
・ カビや、取れないにおいがないか
・ 荷物を入れたときに不安を感じないか
そして、自分の目は毎日見ている物に慣れます。
「まだ使える」と思ったときは、自然光の下で写真を撮って見てみるのもおすすめです。画面越しに見ると、持ち手の傷みや型崩れに気づきやすくなります。
ただし、古いことと、みすぼらしいことは同じではありません。丁寧に手入れされ、気持ちよく使えている物まで、年数だけを理由に手放さなくて大丈夫です。
断捨離の真髄は、買う前に「手放す日」を考えること

ここまで、今ある物をどう減らすかについてお伝えしてきました。
でも、私がいちばん大切だと思っているのは、減らしたあとの買い方です。
物を手放しても、同じように買い続ければ、また元の量に戻ります。
だから私は、購入前に「これを最後にどう手放すか」まで考えます。
この考え方が身についたきっかけが、バッテリー類でした。
迎え入れるときは送料無料でも、手放すときには回収場所を探したり、対象製品か確認したり、費用がかかったりすることがあります。
リチウムイオン電池は、強い衝撃や高温に弱く、捨て方を間違えると収集車や処理施設で火災につながるおそれがあります。家庭から出す場合は、住んでいる自治体の分別ルールを確認してください。
JBRCの回収対象となる小型充電式電池は、対象メーカーや電池の種類、電池の状態などに条件があります。回収協力店へ持ち込む場合も、何でも引き取ってもらえるとは限りません。
「燃えないごみに入れておけばいいだろう」と自己判断しないこと。膨らみや破損がある電池は、特に自治体やメーカーへ確認すること。これは断捨離以前の、安全のルールです。
購入するときは、商品代と便利さばかりを見てしまいがちです。でも、本当の負担は、手放すときに分かることがあります。
買い取ってもらうためにお店へ持ち込む。業者さんに来てもらうために日程を合わせる。粗大ごみの予約を取る。処分費用を払う。
正直、どれも面倒です。
そこで、買う前に次のことを確認するようになりました。
・ 普通ごみとして出せるのか
・ 自治体への申し込みが必要か
・ 販売店やメーカーの回収があるか
・ 自分の車で運べる大きさか
・ 処分費はいくらかかりそうか
・ 人に譲りやすい物か
入口だけでなく、出口まで想像する。
これを始めると、「安いから、とりあえず買う」がかなり減りました。
家電を買うときも同じです。購入前に回収方法や処分費用を確認し、使い始めたら、表示のある製品は本体や取扱説明書の「設計上の標準使用期間」も見ておきます。
異音、異臭、異常な発熱、水漏れ、電源コードの傷などが出たら、「まだ動くから」と無理に使い続けない。家電やバッテリー類は、断捨離より安全が優先です。
迷ったら、まずはひとつの種類だけ

家中の物を一気に出すと、終わらない景色に心が折れます。
最初は「鞄だけ」「食器だけ」「充電ケーブルだけ」で十分です。
① 同じ種類の物を集める
② 使用頻度や家族の人数を基準に分ける
③ 年数と劣化状態を確認する
④ 残す物の定位置を決める
⑤ 手放す物の処分方法を、その場で調べる
ここまでできれば、立派な一歩です。
断捨離は、持ち物の少なさを競うものではありません。
自分が使っている物、自分を助けてくれる物、自分の気分を上げてくれる物が分かる。そのうえで、管理できる量に整える。
私にとって断捨離とは、何でも捨てることではありません。
使っているか。人数や暮らしに合う量か。安全に使える状態か。最後にどう手放すか。
この順番で考え、管理できる量に整えること。
それが、家を手放して日本一周している私がたどり着いた、断捨離の極意です。
今回は「手放すかどうかの決め方」を中心にお伝えしました。
「バッテリーの手放し方を詳しく知りたい」
「鍋や保存容器でも、残す数の決め方を知りたい」
「売る・譲る・捨てるの判断基準を知りたい」
そんなご希望があれば、コメントやYouTubeのコミュニティーで教えてください。反響の多かったものから、具体的な手放し方も記事にしていきます。
参考情報
- 全国クリーニング生活衛生同業組合連合会「クリーニング事故賠償基準」(平均使用年数の定義・商品別平均使用年数表)
- 全国クリーニング生活衛生同業組合連合会「合成皮革のポリウレタン樹脂の劣化による剥離」
- 環境省「リチウムイオン電池関係」
- JBRC「不要電池の出し方」
- NITE「身・守りハンドブック2013」経年劣化事故のチェックリスト(冊子39ページ。最新の製品の取扱説明書も確認してください)
イラストはAIを用いて制作したイメージです。食器の数や点検の間隔は、私自身の暮らしでの考え方です。製品の安全な使用・処分は、メーカーと自治体の案内を優先してください。
