この記事は、キャンピングカーの中でも、トラックベースのキャブコンの運転について書いています。
・運転の不安
・そもそも自分には運転出来るのか?
・免許は?
運転のコツやポイント
そんな不安を解消するための秘訣をまとめています。
目次
不安解消のために、まず知っておくべきこと
今回はキャンピングカー初心者の方向けに、安全に運転出来るポイントをご紹介します。
キャンピングカーと一言で言ってもサイズ・種類は様々あるので、今回はサイズ大きめのthe・キャンピングカーとも呼ばれるトラックベースのキャブコンをベースに話を進めさせて頂きます。
キャブコンが普通車と異なるのは、その見た目とサイズだけではありません。
車重もあり車高が高い分、風の抵抗を受けやすく強風時には危険度も増します。
普通車だと80km/hで走行出来る道でも、条件によっては背の高いキャンピングカーは40km/hでも恐怖心が生まれる場面も多々あります。
キャンピングカーが注目される様になり、レンタルキャンピングカーも全国で見かけるようになりました。
中には高速道路で“わナンバー”キャンピングカーが推定100km以上で爆走している姿も見かけます。
また、運転経験の浅そうな若い方が運転してらっしゃると、それはそれで心配してしまいます。
(※おばちゃんの取り越し苦労と思ってくださいね)
①特徴を知る
キャブコンの運転は難しい?キャンピングカーと普通自動車の大きな違い
重量感
キャンピングカーと普通自動車の大きな違いのは、車体重量です。
キャンピングカーは車に居住空間を架装し、その部屋の中にはベッドやシンク、マルチルーム等を搭載しています。
仮に同じ車体サイズだったとしても架装している分、重量は重くなります。
そのため、車体が重いことを想定した運転を心がけることが大切です。
車体重量が重ければ重いほど加速しにくく、また一度スピードがついたらブレーキを踏んでもすぐには停まれません。
下り坂はスピードがつきすぎると、確実に事故の元になります。
サイズ感
そして普通車との大きな違いのもう1つが、サイズです。
キャブコンと呼ばれるキャンピングカーの中でもトラックベースの車両は比較的大型になり、車内で人が立って歩いたり上部にベッドを備えたりするため車高が高くなります。
車高が高いと重心も高くなり、重量以上に車体が不安定になります。
これは具体的に、強風時に風に煽られやすくなります。背の高い車体では風をモロに受けるので注意が必要です。
更に車高制限のある場所での運転も注意が必要となります。
立体駐車場やトンネルなど、普通車では当たり前に入れていた場所に入場出来ない可能性が出てきます。
ここまでお読み頂いた方は、キャンピングカーの運転がもっと敷居高くなってしまいましたでしょうか?
いえいえ、そんなことはないんです。
トラックの運転は一見難しそうに見えますが、特徴と特性さえ押さえれば、誰でも安全にスイスイ運転出来るようになるので安心してください。
②不安克服ポイントは「サイズ」と「死角」と「高さ」
昨今キャンピングカー人気が高まり、レンタルキャンピングカーも増えています。
そしてレンタルキャンピングカーで起こった事故を見ると一番多いのが、屋根部分の破損だそうです。
特にキャブコン独特の運転席上部分のバンクベッドの破損率はかなり高くなっています。
実際、一般的なハイエースバンの車高が約2.0mのところ、キャブコンの車高は2.8m前後あります。
なので駐車場入場時やトンネル走行の際には、必ず高さ制限を確認しましょう。
また狭い道を走行する際は軒が出ている箇所も多いので、道路脇の標識や街路樹にも注意が必要です。
ちなみに我が家兼車の車高は3.1mあり、とある外車キャンピングカーよりも車高が高く、案の定破損事故を起こしたこともあります!
ポイント①;車体サイズの認識
モデルは我が家のキャブコン(ベース車両はカムロードで運転席から荷室まで全長4,99m、全幅1,99m)をモデルに話を進めさせて頂きます。
(※トラックベースのキャブコンでも車種によっては5mを越える物もあります)
車名 | 全長(m) | 全幅(m) |
カムロード | 4.99 | 1.99 |
プリウス | 4.54 | 1.76 |
N-box | 3.395 | 1.475 |
キャブコンはプリウスよりも車長が45cm長いだけです。こう見ると、キャブコンもそこまで大きくないのが分かりますよね。
そしてキャンピングカーの駐車時に気を付けるポイントはズバリ、後輪から後ろに伸びる荷室の長さです。
普通車と同じ感覚でバック駐車をすると車止めから飛び出すので、後ろに駐車している車がいたら衝突する可能性大です。
また、車幅は荷室の分があるので、駐車場に停めると白線の上に荷室の幅が来ます。
隣の車に“ドアパンチ”しないように荷室からの乗り降りは細心の注意が必要で、隣に駐車している車がいる場合は荷室からの乗り降りは控えた方が無難です。
(運転席部分は普通自動車と同様に乗り降りが出来ます。)
車体の幅に関して言うと、走行中はセンターラインがある場合はセンターラインをサイドラインがある場合はサイドラインを目印に走ります。
運転時は「キープレフト」が基本ですが、キャブコンは車線の真ん中を走行するのが一番安全です。
サイドミラーで走行中に確認するポイントは荷室がラインからはみ出していないか、これにつきます。
荷室はサイドミラーよりも内側にあるので、サイドミラーの幅で問題なく通り抜けられれば、安全に走行出来ます。
ただし軒や店舗看板、民家の屋根、道路標識が一部出っ張っている危険個所も存在するので、心配な時はサイドミラーを確認しながら減速するのが安心です。
ちなみに荷室が飛び出している分、サイドミラーでは後続車の動向が見えません。
バックモニターを常時つけていれば見られますが、運転に慣れない内は視覚情報が多すぎるのでバック時のみ確認するのがオススメです。
ポイント②;一番重要なのは、高さの意識
車高が高いキャンピングカー、レンタカーなどは運転席のパネルに「●.●m」とテプラを貼って意識付けていることが多いです。
ということで、我が家が気を使う高さへの意識のご紹介です。
トンネルの高さを指さし呼称して、高さを意識する
トンネルは入り口や入口手前に高さ表記があります。声に出しながら「(例)4.2m!」と指さし呼称するだけで高さへの意識が変わります。
これは毎回やる事で意識付けが出来るので、気まぐれでやったりやらなかったりはダメですよ。
ちなみに特別な表記がない場所は地上から4.5m以上の空間が確保されているので、心配しなくて大丈夫です。
これは国土交通省が定めた建築限界で定められた日本全国共通の内容で、信号機などもこれに該当します。
駐車場の料金所の屋根の高さ確認
駐車場のゲートは勿論ですが、料金所のチケットを取ったり料金を支払う機械の上にある屋根、あの屋根の高さも要注意です。
普通車では気付かない高さですがキャブコンでは高さが致命的になり、特に運転席上のバンクベッド部分だけでなく天井側面部分をガリガリっと削ってしまう可能性も…。
運転席からよく見えず心配な時は我が家は降りて目視で確認しています。
もし同乗者がいるなら、同乗者が車外で目視してサポート出来れば尚の事良いですよね。そしてこれが一番確実で間違いないです。
ポイント③;死角を知る
車体の大きいキャンピングカーはバンクベッドだけでなく、他にも死角が存在します。
バンクベッドの次によくぶつけると言われるのが、車体後方部です。
駐車時、サイドミラーや目視では後ろがほぼ見えません。
その為、たいていの車体にバックモニターが設置されています。そしてその画面を確認しながらバックします。
もしバックモニターを搭載されていない方は、搭載をオススメします。
更にリアラダー(車両後ろにあるハシゴ)を架装している車体は自分で思っている以上に後ろにはみ出しているので、車輪止めで停まるよりも前に、降りて後方を確認するのが無難です。
特にバックモニターには映りにくい、車両後ろのサイド部分は、フェンスや壁などにぶつけやすい傾向にあるようです。
続いてぶつけやすいのは、天井の両縁部分と言われています。
道路標識や店舗看板等に当ててしまうケースがあります。
特に左側面にはサイドオーニングを架装している車体は、オーニング破損の原因にもなるので注意ですね。
そしてこの部分はサイドミラーにも映らないので、ちょっとでも「危ないな」と感じる場所を見つけたら、できるだけ回避するよう心がけてください。
③安全運転のコツは4つの基本操作
(1)アクセル、ブレーキは“急”厳禁
キャンピングカーは車体サイズに比例して重量が重くるので、アクセルやブレーキの制動は比較的弱くなります。
キャブコン以上の大きなキャンピングカーに乗る際、特に停車前は早めのブレーキを心がけましょう。
余談ではありますが、軽キャンやバンをベースにしたバンコンの乗用車と変わらないサイズのキャンピングカーであれば、気になるほどの差はない体感だそうです。
しかし移動する家を運んでいると思えば、やはり余裕を持った早めブレーキで安全運転を心掛けましょう。
(2)カーブ手前で減速
重心が高くなりがちなキャンピングカーは、カーブ時の遠心力に弱いという特徴もあります。
カーブを曲がる際は普段よりもしっかりスピードを落とし、不安定な走行にならないよう注意が必要です。
外側に引っ張られるような不安感を感じる時はスピードを落としきれていない証拠です。(慣性の法則)
また、カーブ時もは周りの安全確認にも注意が必要で、人との接触やバイクの巻き込みはもちろん、車体の奥行きが長い場合は隣のレーンを走る車にも配慮してカーブを曲がるようにしましょう。
(3)高速道路は80km/h
普通乗用車と比較すると2~3倍の重量があるキャンピングカーは、長い制動距離が必要です。
普通車の感覚で信号手前で頑張ってブレーキを踏んでも、なかなか停まれません。
また普通車に比べると重心が上にあるので、スピードを出したまま急ハンドルや急カーブで進入すると、横転事故につながります。
高速道路では大型トラックが通過した時に風圧で押し出され、ハンドルをとられることもあるので、万が一の時に停まれるように、スピードは80km/hまでに抑えて、ゆとりある運転を心がけましょう。
恐怖を感じることがあっても、身構えておけば危険回避出来るので、安全のためにも常に周りをよく確認して走ることが大切です。
人によっては普通車の様なスピードで走れないことが気になることもあるようですが、特に大型のキャンピングカーは「ゆっくり走るもの」だと割り切ることが良いでしょう。
(4)橋の上、河川の近く
大型のキャンピングカーで意外に気をつけなければならないのが、橋の上や河川横を走行する際の横風です。
重心が高く横風を受ける面積の広いキャンピングカーは、想像以上に風を受けます。
そこで橋や風が強い河川に差しかかる前にスピードを落とすことで、横風の影響をある程度抑えることが可能です。
④キャンピングカーの坂道&悪路の運転の仕方
上り坂
上り坂では登坂車線があれば、断然登坂車線をオススメします。
なぜなら、上り坂では走行速度が20km/hまで落ちることもしばしばあるからです。
後続車の迷惑だけでなく、譲れる道では譲って心に余裕をもって安全に運転しましょう。
下り坂
下り坂は上り坂とは一変、車体の重さでどんどん加速していきます。
キャンピングカーは車重だけでなく積載荷物の重さも加わるので、いつの間にかグングンと速度が上がってしまいます。それはもう、恐怖を感じるほどです。
普通車以上に、こまめに・早めにエンジンブレーキや排気ブレーキ、またフットブレーキだけでなく、ポンピングブレーキをおこないましょう。
悪路
ガタガタしている砂利道や踏切りや段差を走行する際にも注意ポイントがあります。
それはキャンピングカーの醍醐味でもある“荷室”を守るという点です。
住居部分には家電類や荷物などを載せており、動かない家と違い振動をもろに受けることになります。
なのでキャンピングカーの基本運転の中には「荷室を守る」という絶対的必須項目があるのです。
それでは悪路での運転のポイントはというと、減速した上でこまめに小さなブレーキを踏むことです。そうする事で荷室の揺れを最小限に抑えられます。
荷室の揺れを抑える為のクッションをブレーキで補うイメージです。
振動は家財にダメージを与えると述べましたが、仮にエアコンが故障してしまった場合はエアコンの購入費だけでなく、内装を一度外してからエアコンの出し入れ等の作業が必要で、100万円以上のコストが掛かると言われています。
⑤最大の利点
(※撮影のために、あえて白線の上に乗るように停めています)
ここまでお読みいただいて、やはりトラックの運転は難しいのではないかと不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
でも実は大人気のハイエースと比較しても格段にトラックの方が運転しやすいのです。
特にハイエースのスーパーロングと比較するとカムロードの方が全長は短い上に、前輪タイヤと後輪タイヤとの距離が短いカムロードの方が旋回能力が上回ります。
(※前輪と後輪の距離の事を「ホイールベース」といいます。)
車名 | ホイールベース(m) | 全長(m) |
カムロード | 2.545 | 4.99 |
ハイエース(スーパーロング) | 3.11 | 5.38 |
N-box | 2.52 | 3.395 |
ホイールベースは短ければ短いほど、最小回転半径が小さくなり、つまり旋回能力が高くなり、すなわちキャブコンの方が運転しやすいという大きな利点となります。
ちなみに旋回能力は①全長②ハンドルきれ角度③トレッド幅(タイヤの左右の幅)④ホイールベースの長さ、この4要素から導かれます。
まとめ:コツを掴んで安全で快適なキャンピングカーを楽しもう
車体の大きいキャンピングカーの運転は、初めのうちは少し難しく感じると思います。
でもまずはこのポイントだけ注意すれば、事故・破損のリスクは格段に低く抑えることができます。
何よりトラックの運転席は普通車よりも高いため、目線が高くなり前方の交通状況が見易く、スムーズな走行が出来ます。
しかし慣れてしまえば手軽に乗られるからこそ“いつもの運転”ではなく、より一層注意を払って安全運転で車旅を楽しまれてください。