この記事は
なぜ海外ではモーターホームと呼ぶのに日本ではキャンピングカーと呼ぶのか?
という疑問の声を元に、その歴史と、そう呼ばれる所以を調べた内容
をまとめた物をご紹介します
目次
「キャンピングカー」は、どこからきた?
先日「キャンピングカーについて疑問に思っていることを教えて欲しい」とSNSを通じて呼びかけました。
その中の1つに「日本ではキャンピングカーと呼ぶけど、何でモーターホームと呼ばないのか?」という疑問の声を頂き「確かに…」と、私も興味が湧いたので調べてみることに。
「どうやら“キャンピングカー”という呼び名は、日本独自の物らしい」との事前知識を入れての、調査となりました。
調べを進めると、そもそも「キャンピングカーとは一般的に寝泊り出来る設備を備えた車のことである」と説明を見つけました。
「うん、それは分かっているの…」ということで視野を広げ、今回は「キャンピングカー」という呼び方がどこからやってきたのか調べつつ、キャンピングカーの可能性を考えてみることにします。
キャンピングカーと呼ぶのは日本だけ?
いわゆる日本の「キャンピングカー」は、アメリカでは「RV」もしくは「大型自走式モーターホーム」と呼ぶそうです。
これを知っている方から見ると「モーターホーム」という呼び方は比較的身近ですよね。
しかし調べ進める内に、ヨーロッパ圏・オーストラリアでは「キャンパー」と呼び、何とドイツ語では牽引式を「キャラバン」、自走式を「キャンピングカー」と呼び、更にフランス語でも自走式を「キャンピングカー」と呼ぶことが判明しました!
この答えを見つけた時は「キャンピングカーって呼ぶのは日本だけじゃないんだ!」と興奮物でした(笑)
いずれにせよ日本では大型のバスコンだろうが小型な軽キャンだろうが、総称して「キャンピングカー」と呼んでいます。
ということは「日本にキャンピングカーという概念が持ち込まれたのは、ヨーロッパ経由なのだろうか?」と、歴史好きな私は、ますます興味が湧いてきました。
キャンピングカー誕生の歴史
キャンピングカーの語源は少し置いておき、そもそもキャンピングカー誕生の歴史を調べることにしました。
どうもこの辺がポイントになっている気がして…。
そして掘り下げて調べていく内に実に興味深い記述を見つけたのです。
何とキャンピングカーの原型は、ヨーロッパの幌馬車だったのです!
▶出典;たびらい 幌馬車(ホロバシャ)
確かにヨーロッパは広大な陸続きなので、商売などで長距離移動したい時の手段として幌馬車が登場したのも頷けますね。
そしてこの長距離移動を目的とした馬の動力源が、後々時代の流れによって車の形となり、キャンピングカーが誕生するヒントとなっていくのです。
こうしてヨーロッパで生まれたキャンピングカーはその後、アメリカにも流通することになりますが、アメリカで本格的に「キャンピングカー」が知られるようになったのは、1910年代頃と言われています。
この時代の自動車業界の先駆者がキャンピングカーを発表しますが、当時はまだ蒸気自動車の製造を試みるも失敗が続いていた時代。
その苦しい試行期間を超えた後に発表されたキャンピングカーは、見た目は車そのものだったそうです。
そして当時のアメリカのキャンピングカーは長時間・長期間の移動を考慮した設備(ベッドや飲食スペース等)が整えられ、これが現代のキャンピングカーの基盤になる内部構造(荷室/居住区部分)の元になっていると言えます。
当時はまだ“旅行”と言えば、列車での移動が一般的だった中「好きな時に好きな場所へ行ける」キャンピングカーは画期的なアイテムとして人気を博すことになったのです。
日本のキャンピングカー
その後1950年代に日本にキャンピングカーが登場しました。
何と日本人で初めてキャンピングカーの必要性を感じたのは、画家の桐野江節雄氏という方です。
「転々としながら絵の修行をしよう」という考えの元に誕生したのが日本初のキャンピングカー「エスカルゴ号」だったのです。
(絵を描いた先は海外で、その後帰国して日本にキャンピングカーを持ち込んだようです。)
その後桐野江氏は1965年に「日本オートキャンピングクラブ」、1969年には「日本オートキャンプ協会」を設立しています。
現在もこのクラブと協会は活動しているので、創業約55年の歴史があります!凄い!
そして日本は高度経済成長期から安定経済成長期へと入り、一般の人々の間にもキャンピングカーが普及して、今日のキャンピングカー人気へと至る訳ですね。
「キャンピングカー」と呼ばれるための条件
日本で「キャンピングカー」を名乗れる車体は限られており、自家用車を寝る・生活出来る仕様にしても「キャンピングカー」とは呼べません。
キャンピングカーを名乗るにはいくつかの条件がありますが、ここでは代表的な条件をいくつか挙げます。
- 寝台の確保
乗車定員の1/3以上が寝られ、就寝部の上面は水平で、大人が十分に就寝できる構造であることが必要
通常は座席の状態の物も多く、可動式でも良い
- 調理施設の確保
調理場は0.3m以上×0.2m以上の平面、その場所の天井高は1.6m以上あり、換気扇を設置すること
最低でもお湯を沸かせる熱源(電気やガス)が必要
- 水道設備の確保
10L以上の給排水設備があること
清水(ホワイト)タンク、汚水(グレー)タンクの貯蔵施設と、その供給設備が必要
等、これらいくつかの条件を全てクリアした車体のみが「キャンピングカー」という特別な称号を与えられることになるのです。
(参考;「国土交通省 「自動車の用途等の区分について(依命通達)」の細部取扱いについて」)
つまり車内をいかに快適化し様々な設備を搭載したところで、全ての条件をクリアしなければキャンピングカーとは呼べないのです。
これが車中泊仕様車とキャンピングカーの明確な違いですね。
しかし逆にこれらの全ての条件をクリアすれば、自作キャンピングカーを真のキャンピングカーと呼べるようになるのです。
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「キャンピングカー」の呼び名
ここからは私の考察を交えてお話しさせて頂きます。
上記の様にキャンピングカーの歴史を辿ったところ、キャンピングカーの起源はヨーロッパだったが、その後アメリカで量産されたキャンピングカー(モーターホーム)が世界にその名を広く知られることになり、「海外ではモーターホームと呼ぶ」というイメージが定着したのではないでしょうか。
いずれにしてもキャンピングカーが誕生した理由は「長期間または長時間の旅を快適に、好きな時に好きな場所へ」というコンセプトの元にある訳ですから、当時も今もその理想の旅の形が支持されているということですね。
そして車旅の起源は、まさにここにあったと言えるでしょう。
キャンピングカーの魅力
そんな歴史あるキャンピングカーは、誕生秘話にもあったように「いつでも、どこでも」が最大の強みと言えるでしょう。
私達がキャンピングカーを選んだ理由もまたしかり、キャンピングカーの購入を迷われている方に強く勧められるメリットが、まさに「周りの時間ではなく自分のタイミングで、パっと思い立った時に好きに出掛けられる」という点です。
予約した宿に時間に間に合わせなくて良い、予約が取れないと嘆くこともない。
先の予定がなかなか立たない方でも、気軽に車旅に出られる。
そして自分のタイミングで寝起きして車内で調理をして、知らない土地で朝日を迎える。
冷蔵庫には家で用意してきた野菜や途中で購入したお肉を入れておく。
普段家で食べる食事もキャンピングカーの中で食べるといつもとは違う味に感じるから不思議だ。
旅先で見つけて気になったお酒やその土地のグルメを購入しておいて、夜はそれを楽しめる。
キャンピングカーは日常生活のあらゆる物を特別な物に変えてくれるから不思議だし、それが魅力です。
有事の際にも大活躍
私が注目するのが、遊び以外のキャンピングカーの活用方法です。
キャンピングカーと言うといかにも金持ちの道楽、遊ぶための贅沢品に見られがちですが、キャンピングカーの活躍の可能性は無限大だと信じて止みません。
キャンピングカーの名が「キャンピングカーを知らない人々」の間でも広く知られるようになったのは、2011年の東日本大震災の際と言われているそうですが、正直私はここ2~3年で「キャンピングカー」関連の言葉を覚えたので、当時はまだキャンピングカーが活躍している姿は知りませんでした。
その後も度重なる熊本地震、鳥取県中部地震、更には西日本豪雨の被害地にもキャンピングカーが長期派遣され、復興支援に貢献しているのは記憶に新しいのではないでしょうか。
災害カーとして活躍したキャンピングカーは、被災者だけでなく復興作業にあたる従業員・ボランティアスタッフの熱中症対策として休憩所ともなり、大活躍を遂げています。
災害対策として活用される際のキャンピングカーがいかに働く車として人々の役に立つかが分かる案件ですね。
そしてwithコロナの現在も、各地でキャンピングカーを医療現場へ送ろうという活動が行われています。
家族を思い家に帰らない医療従事者の方に、少しでも癒やしの空間になってくれていると嬉しいと思います。
まとめ
さて、いかがだったでしょうか。
キャンピングカーの誕生秘話、そしてキャンピングカーと呼ばれるのが日本だけではなかったという事実が判明しました。
歴史深いものなので明確に「コレが起源で、コレが答えだ!」と強くは言えませんが、何事にも歴史はあり、調べていくと面白い答えが見つかりました。
そしてこれからもキャンピングカーが活躍する場面は無限大だと期待を込めて、まとめの言葉とします。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。